熊本からあなたへ。今更ながら震災後の実情を。
4月14日、16日の熊本地震から、2カ月が経とうとしています。
私は、熊本に住んでいます。
14日は会社で、16日は自宅アパートで被災しました。
仕事はまあ、何とかなっています。多分。
自宅も、今週末に引越します。前の不動産会社とはモメていますけど。
目に見えないダメージが深刻化
さて、最近、全国メディアで熊本地震はほとんど取り上げられません。
マスコミや世論は、
北海道で置き去りにされた少年や、某都知事の不正に関して、もしくは芸能人の不倫に関して一生懸命です。
県外メディアの姿を見ることもめっきり減りました。
実際、熊本地震は東日本大震災や、阪神淡路大震災などと比べると、大きな被害には見えません。
津波もなければ、死者も前述した2件の地震と比べると桁違いに少ないです。
お店に入れば物が買えるし、家に帰ればお風呂も布団もあります。
益城町や南阿蘇村、西原村など甚大な被害を受けた地域もありますが、
そう思われています。
しかし、実際は多くの問題が山積しています。
熊本に住んでいる人でも気づいていないことが多いと思います。
命の危険はありませんが、生活に関して、経済に関して致命的なダメージが与えられ、
今、熊本でこれまでどおり暮らしていくことは非常に難しいと思われます。
全国からの復興支援が復興を遅れさせている?
現在、全国から復興支援で様々な企業・団体が熊本入りしてくださっています。
行政、インフラ、保険、建築、土木、不動産、流通、小売、NPO、福祉系団体……数えきれないほど分野から、大勢いらしてます。
宿泊やタクシーは勿論伸びていますし。
建設業や仲介不動産会社はバブル並に儲かっていると聞きます。
しかし、多くの分野では今後の経営が危ぶまれています。
熊本地震に対する国の復興予算は7780億円。
震災前の2月、熊本県が出した当初予算案が6878億円です。
つまり、県の年間の予算を上回る金額の予算が震災復興のみに充てられます。
単純に考えると予算が倍以上に膨れ上がるようなイメージですが、実はそういうわけでもありません。
この、7780億円のうち大部分は復興のため、恐らく県外の企業に対して、
業務を発注するために支払われます。
県内の企業だけで復興する力が無いので、当然ですし、仕方ないと言えば仕方ないのですが、
県内への経済効果は非常に低いと考えられます。
内閣府の調査では最大4.3兆円の経済損失と発表されていますので、どの道微々たる金額ではありますが。
しかし、県内でお金が循環しなければ、経済的復興は見込めません。
支援団体や復旧活動に充てがわれたお金というのは、
悪い言い方をすると、「その場しのぎのお金」に過ぎません。
県内企業、団体から経営者、被雇用者(消費者)と流れていかなければお金は循環しません。
いまこの時に単発でのプロジェクトにではなく、中長期的な基盤に補助をすべきです。
そういった動きが出来る人がどれだけいるかと言えば、難しい話ですが。
会社員などの労働者はいつもどおりに給与が振り込まれていたり、社内の雰囲気も、
震災前と変わらない様子を取り戻しつつあるため、大丈夫だと思われているかもしれません。
しかし、経営者は部下や社員を不安にさせないように必死に悩んで闘っているのです。
知り合いの経営者は先が見通せず、頭を抱えています。
東日本大震災の時は半年経って経営者の自殺が増えたそうです。
熊本でも年を越えることが出来ない企業が出てきそうですね。
熊本地震は終わっていない
私が強く主張したいのは"熊本地震は終わっていない”ということです。
余震は未だに続いています。
未だに避難所生活者もいますし、
今後の生活が見通せない人もいます。
そして、更に困窮する人々は増えて行くと思います。
言ってしまえば、東日本大震災ののち、東北地方もいまだに震災前の状況には
戻っていません。
それだけ、時間がかかるのです。
メディアの報道は一斉に減りました。
いま、被災地・熊本の様子を知る手段は、
地元メディアか個人による発信を通してがほとんどでしょう。
熊本だけでは復興が難しい、頼り過ぎるわけにもいかないけれど、
頼らざるを得ないし、どう復興していっていいのかわからない。
それが、熊本の現状だと思います。
「負けんばい熊本」そう書かれた文字を街で目にするが、
その心が折れぬうちに新たな希望を見つけたいものだ。